------  傑作映画館  ------


 ソラリス(原題:Solaris )
   監 督 :スティーブン・ソダバーグ
   出 演 :ジョージ・クルーニー、ナターシャ・マケルホーン
   ジャンル:SF
   2007年  アメリカ


小説(原作)⇒ 映画化(1972年「惑星ソラリス」)⇒ リメイク版(2007年「ソラリス」)

注)以下、ネタバレだらけです!

【あらすじと感想
 これと言った結論の出ないある意味退屈な映画です。
 1972年のタルコフスキー(ソ連)の映画化以来ですね。
 

 原作は、ポーランドのスタニスワフ・レム作「ソラリスの陽のもとに」で昔(文庫本になってた)読んで独特の世界観に驚いたものです。
 地球と違う惑星・ソラリスが舞台なのでSFなのかと思いますが本当は人間の心の動きを描きたかったんでしょう。

 水の惑星・ソラリスの調査を行っているステーションから請われてクリスはそこへ向かいますが、ステーションにドッキングする前に窓からソラリスの海を見るとそこには巨大な人間の胎児が浮かんでいるのです。
 ステーションに乗り込んでみると、いるはずがない子どもの姿が見えますがすぐにいなくなります。

 ソラリスを覆う海は何らかの活動をしているようですが、人間は長年の研究にも拘らず何一つ分からないのでした。
 やがてクリスにも「客」がやってきます。
 それは昔自殺した恋人でした。
 ソラリスは人間の心の記憶の奥底の潜在意識から、本人が最も隠しておきたい記憶を掘り出し、それを具体化した「客」を送り込んでくるのでした。
 「客」は最初は服と体が融合している等不自然ですがいつの間にか修正されています。
 一番いけない事に「客」はコピー元と性格まで似ていて、自分の存在がクリスを苦しめている事を知ると自殺してしまうのでした。
 しかし「客」は再生します。
 クリスは「客」が苦しみながら死から生に戻るのを見ていなければならなかったのです。
 ステーションの研究員はそんな「客」との生活に心が壊れていくのでした。

 というような、原作だった気がします。(原作の曖昧な記憶と二本の映画がごちゃ混ぜですが…。)
 ラストは覚えていないですけどね!
 こんな心の揺らぎを表現するには、映像より文章の方が向いているのかも知れませんし、結局のところ、映画は新旧共に原作のテイストが充分に味わえるものではなくて、小説を読んだ方が面白いよ、と言いたかったのです。



  2018.11.    ................ 傑作映画館の目次ページへ